便利さとリスクの両面がある
今や、社会のあちこちで「インターネットはあって当たり前」。もはやパソコンやスマートフォン(スマホ)だけではなく、身の回りのあらゆるアイテムがネットにつながって、さまざまな利便性を提供してくれています。最近のヒット商品でいえば、「Google Home」や「Amazon Echo」といったスマートスピーカー(音声アシスタントデバイス)が挙げられます。既に「体験済み」「使い始めている」という方も多いのではないでしょうか。話しかけるだけで好きな音楽をかけたり、タクシーを呼んでくれたり、ニュースや今日の予定を教えてくれたり……。間違いなく、生活に潤いをもたらしてくれるものである一方で、セキュリティの不安を懸念する声も聞こえてきます。 今回はスマートスピーカーのリスクと、安全性を確保しながら活用するポイントを考えてみました。
人気のスマートスピーカー、どんなリスクが?
スマートスピーカーの便利なところは、音楽を聴くにも他の機器と連動するにも言葉ひとつ。キーボードやタッチパネルに手を触れることなく、ハンズフリーで操作できるというところでしょう。Wi-Fiでインターネット接続していることで、ネットサービスや高度なAIの機能を利用することができます。また家庭内のIoT機器と連動したり、照明や防犯センサーなどと連携したりといった機能も既に実現しています。
ただしこうした最新機器は、サイバー犯罪者が目を付けるものであり、便利さは危険と隣り合わせといえます。スマートスピーカーに関する懸念点として、まずWi-Fiにつながっている以上、ネットを経由してサイバー犯罪者による乗っ取りに遭う可能性があるでしょう。不正なアクセスによって、スマートスピーカーが聞き取った家庭内の音声が盗聴されることや、外部からの遠隔操作で、家のロックを勝手に解錠されたり、IoT家電を壊されたりするかもしれません。さらに乗っ取られたスピーカーが「嘘」のニュースを教えてくれたら、信じてしまう人も多いのではないでしょうか。ネット経由の乗っ取りではなくても、持ち主以外の声に反応してしまう可能性も指摘されています。子どものままごとやテレビの音声を聞きとったスマートスピーカーが、誤ってネットスーパーに商品を注文してしまったらどうなるでしょうか。また特殊な条件のもとではありますが、人の耳には聞こえない帯域の音声を使って、スマートスピーカーを不正に操作する実験も成功したといわれています。
スマートスピーカーはまだまだ普及が始まったばかりで、今のところ大きなサイバー犯罪の被害は知られていません。また主要なスマートスピーカーは、通信の暗号化などに配慮しているといわれ、各メーカーともセキュリティには配慮しているようです。しかし今後スマートスピーカーが広まり続ければ、ネットにアクセスしたり、銀行口座の情報を保管したりするようになるとみられます。そうなればサイバー犯罪者の側も“スマートスピーカー対策”にいっそう力を入れ、予想もしない手口を思いつくかもしれません。できる用心は、しておくに越したことはないのです。
まずは設定回りを見直して
スマートスピーカーと同じように、「ビッグデータ」「IoT」「AI」を活用した分野の一つが自動運転自動車です。公道での実証実験が進んでいる一方で、過去には外部から乗っ取る実験が成功するなど、リスクについても慎重に対応していく必要があります。スマートスピーカーを含め、最新デバイスのセキュリティ管理の必要性を認識しておく必要があるでしょう。
サイバー犯罪者はブームのデバイスなどを狙う習性があるだけに、これから数年の間に定着が進むであろうスマートスピーカーは、いっそう注意が必要です。下記のような項目を参考に、スマートスピーカー、そしてネット接続機能をもつIoT家電などもリスクを減らすよう日頃から対策をしておきましょう。
スマートスピーカーを安全に使う主なポイント
- プライバシー保護機能やセキュリティ機能を持つ製品を選ぶユーザーがプライバシー保護やパスワードなどのセキュリティ設定をカスタマイズできる製品を選びましょう。
- 不要な機能はオフにしておく使わないネット接続などの機能はオフにしておきましょう。
- 予測しにくいパスワードを設定するパスワードは誕生日や「abcd」のような、サイバー犯罪者が予測しやすいものは避けましょう。
- OS、ファームウェアを最新に保つアップデートを確認し、最新バージョンに更新するようにしましょう。
- Wi-Fiルータのセキュリティ対策を確認するスマートスピーカーなどのIoT機器がつながるルータは、セキュリティ機能付きのものを選んだり、ルータ向けのセキュリティ製品を活用したりしましょう。